2018/05/13

ゴールデンウイークが終わって(早1週間)




この間、少し忙しかったせいか、はたまた寒暖差が激し過ぎたせいか、どことなく気怠い感じの日々を送っていたが、今日は飲み会(旧友から利き酒会の誘い)。16日からは家人と23日の広島旅行(原爆ドーム&広島平和記念資料館の見学が一番の目的)が控えており、そろそろシャキッとしなくては……と思い、まずは気分転換を兼ねて連休中のあれこれ(主に映画の感想)を書き留めておきたい。

51日(火)
神田神保町の岩波ホールで『マルクス・エンゲルス』(監督・脚本:ラウル・ペック/フランス・ドイツ・ベルギー合作/2017年製作)を鑑賞。(連休中のせいかホール内は大混雑。チケットは開場20分前に完売……相変わらず中高年男女の姿が目立つが、若い人たちもちらほら)

本作はカール・マルクス(181855日生)生誕200年を記念して製作されたもので、19世紀を代表する革命的な大著『資本論』(意気込んで読み始めたものの、数十頁で挫折した遠い昔の記憶あり)を著したマルクスと、盟友フリードリヒ・エンゲルスの青年時代、『共産党宣言』が生まれるまでの過程が描かれている。(マルクスが29歳の時に執筆した『共産党宣言』前文の冒頭「ヨーロッパに幽霊が出る……共産主義という幽霊である」は今なお歴史に残る名文句。さらにその本の中に出てくる「階級闘争」という言葉の新鮮さ。19世紀を代表する哲学者・思想家・革命家は、“コピーライター”としても実に優秀だったと思う)

で、この映画、監督ラウル・ペックの話によると、マルクス、エンゲルス、マルクスの妻イェニー、そして彼らの友人たちの手紙からストーリーを膨らませて脚本を練ったそうで、どこまでが実話でどこからがフィクションなのかは定かでない。でも、そんなことは全く気にする必要なし。
「ライン新聞」のあと「経済学哲学草稿」「聖家族」「ドイツ・イデオロギー」「哲学の貧困」へと一気に突っ走るマルクスのエネルギッシュな仕事ぶりとその原動力となるエンゲルスとの緊密な交友関係が核となって澱みなく流れるストーリーは実にリアルで、生き生きとしていて、その精神の熱を受け止めるだけで精一杯。矛盾を感じている暇などない。(特に『共産党宣言』が生まれるまでの白熱した議論は超・見もの!&聴きもの。全く臆せず議論に加わるマルクスの妻イェニーの姿も印象的)

そして、ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」にのって、20世紀の様々な事件や(ベルリンの壁の崩壊、ソヴィエト連邦崩壊など)、チェ・ゲバラ、ジョン・F・ケネディ、チリのサルバドール・アジェンデなど、時代を象徴する人物の映像が映し出させる鳥肌モノのエンド・クレジットまで……一人過ごす「メーデー」を飾るにふさわしい大満足の一本だった。
(唯一、気になったのは観客のマナー。映画の冒頭、マルクスとイェニーのベッドシーンの場面で怒りの声を上げる高齢男性あり……青年マルクスを描いた作品。ベッドシーンの一つや二つ、あったところで何の不思議もないが、一体、何が気に入らなかったのだろう。
また、映画終了後のロビーでは「あ~、眠かった」と、大声で話しながら帰るオバサンたちと遭遇し、かなり興醒め。眠かったのは映画のせいではなく、アナタ自身のせい。観る前に、自分に適した作品かどうかぐらいはちゃんと考えてくれないと…)

映画の後は、神保町にオフィスをかまえる広告営業のJINさんと仕事の打合せを兼ねて一杯。(場所は、『逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)』のロケで有名になった居酒屋「酔の助」……
夕方5時入店なのに、ほぼ満席。旨くて安くて活気があって、昭和な感じが漂う庶民的なお店。
メニューの豊富さにも驚かされた)

54日(金)
昼の12時から3時過ぎまで、上井草の喫茶店でデザイナーのUEちゃん&MIYUKIさんとポスター制作の打合せ(&時事・映画・読書談義)。4時頃帰宅。

夕方5時過ぎ、今年3月から明大前で一人暮らしを始めた愚息が、彼女を連れて帰ってきた。

お互いの自己紹介を兼ねて軽くお茶した後、4人で駅前の焼肉屋さんへ……「今日はコチラのおごり」というわけで、大奮発の上カルビ、タン塩、ハラミ、ナムル盛り合わせ、平壌冷麺(店主が北の出身らしく、先日TVで見たままの冷麺登場)などを食しながら、ワインで乾杯。二人の門出を祝った。
(仲が良く、とても楽しそうな二人を見ているうちに、コチラも幸せな気分に……8月頃に籍を入れるらしいが、その彼女も「でかした!」と息子を誉めたいほど、笑顔の素敵な人だった)

55日(土)
昼間、録画していたドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』を鑑賞。(昨年、ポレポレ東中野で上映していたが、うっかり見逃してしまった作品)

暴力団組員は暴排条例により銀行に口座が開けない。そのため、学校の給食費などは口座引き落としが出来ず、子供が現金で学校にもっていくことで、親がヤクザだと周りに知られてしまい、いじめにあうことも多いらしい。

本作は、そんなヤクザたちの異様な実情と普通の日常を捉えながら、いま警察権力によって行われているヤクザに対する様々な締め付けは、憲法14条の「すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」という一文に反していないのだろうか?と、広く世間に問いかけたもの。

安倍政権により「憲法改正」が叫ばれている折、実に示唆的かつタイムリーな題材。ヤクザの日常に密着した内容も新鮮かつ実に興味深く、さすが世の中のタブーに切り込む“東海テレビ”と、道徳の凡庸を乗り越える独自の製作姿勢に拍手を送りたくなる秀作だった。

 

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