2018/12/31

勝手にコトノハ映画賞(2018)




《外国映画部門》
●最優秀作品賞
ボヘミアン・ラプソディ』(監督:ブライアン・シンガー/アメリカ2018年)
※鳥肌モノのラスト。クイーン(&フレディ・マーキュリー)を侮っていた自分に「喝っ」!
●優秀作品賞
判決、ふたつの希望』(監督:ジアド・ドゥエイリ/レバノン=フランス、2017年)
※「希望」は、互いが受けた心の傷を思い知ることから。
1987ある闘いの真実』(監督:チャン・ジュナン/韓国、2017
※軍事政権下、全土を巻き込んだ韓国民主化闘争の内実を描いた社会派ムービー……怒りと悲しみを圧倒的なパワーに変えて民主化を実現した人々に胸が熱くなる一本。(さて、怒りを忘れた人々に、死に瀕した民主主義を救う力はありやなしや)
ラッキー』(監督:ジョン・キャロル・リンチ/アメリカ、2017年)
※名優ハリー・ディーン・スタントンへの愛情あふれる一本。静かなラストが心地よい。
花咲くころ』(監督:ナナ・エクフティミシュビリ&ジモン・グロス/ジョージア=フランス=ドイツ、2013年)
※戦間期のジョージアの首都トビリシを舞台に、荒んだ社会の中で思春期を迎えた少女たちのひと夏の物語……切なく、力強く、美しい、ジョージア映画との出会い。(驟雨の中を駆け抜けるエカとナティアの姿が眩しかった)

●監督賞
ジアド・ドゥエイリ(『判決、ふたつの希望』)

●主演男優賞
ラミ・マレック(『ボヘミアン・ラプソディ』)
※フレディの魂が乗り移ったような圧倒的なパフォーマンス!
ハリー・ディーン・スタントン(『ラッキー』)
※美学と意地を貫いた名優の人生に敬意を込めて。

●主演女優賞
リカ・バブルアニ(『花咲くころ』)
※祝宴の席で踊るダンスの気高さ。そしてラストの眼差しに宿るジョージアの未来に。

●助演男優賞
ハ・ジョンウ(『1987、ある闘いの真実』)
※学生の死(拷問致死)を隠蔽しようとする警察に対峙する検事を演じた韓流スター。(大鶴義丹に似ている?)

●助演女優賞
ヴィッキー・クリープス(『マルクス・エンゲルス』)
マルクスと同志的な絆で結ばれた妻イエニーを演じたルクセンブルグ出身の女優さん。

●特別賞
ラスト・ワルツ』(監督:マーティン・スコセッシ/アメリカ、1978年)
※「アイ・シャル・ビー・リリースト」……何度観ても、何度聴いても、心に沁みる。
まぼろしの市街戦』(監督:フィリップ・ド・ブロカ/フランス、1967
※本当に狂っているのは誰なのか?戦争の不条理を笑いのめす伝説の反戦コメディ。

●長編ドキュメンタリー映画賞
いろとりどりの親子』(監督:レイチェル・ドレッツィン/アメリカ、2018
※生まれて、生きて、死ぬ……人生における悲しみと喜びはみな同じ。身内に障害者もゲイもいなくても、私たち自身が「多様性」の中にいる一人であることを感じさせてくれるドキュメンタリー。
共犯者たち』(監督:チェ・スンホ/韓国、2017年)
イ・ミョンバク(李明博)とパク・クネ(朴槿恵)政権の約9年間にわたる言論弾圧の実態を告発したドキュメンタリー。報道の自由のために闘ったジャーナリストたち、そして彼らを応援する多くの国民……そんなまっとうな社会の姿を期待出来ない、今の日本が情けない。

《邦画部門》
●最優秀作品賞 
孤狼の血』(監督:白石和彌)
※「アウトレイジに対する東映の答え」(by古館伊知郎)という宣伝文句どおり、日本ノワール復興への思いが滾る一本。(もちろん、「仁義なき戦い」とは比較にならないが)

●優秀作品賞
菊とギロチン』(監督:瀬々敬之)
※今年一番!と言っていいほど“熱い”日本映画。
万引き家族』(監督:是枝裕和)
※カンヌのパルムドール受賞作。揺るぎなき是枝クオリティ。
止められるか、俺たちを』(監督:白石和彌)
※これも、熱い!70年代の「若松プロ」に集まった若者たちの青春グラフィティ。

●監督賞
白石和彌(『孤狼の血』『止められるか、俺たちを』)


●主演男優賞
役所広司(『孤狼の血』)
※脂っこいほどのギラギラ感をスクリーン狭しと発散する熱演に

●主演女優賞
安藤サクラ(『万引き家族』)
※上手すぎて、凄すぎて、何も言うことなし。「百円の恋」が最高だけど。
内田慈(『ピンカートンに会いにいく』)
※イタさと、悲哀と、たくましさ……毒舌たっぷり、貫録の熱演に拍手。

●助演男優賞
松坂桃李(『孤狼の血』)
※主演の役所広司をも凌ぐ存在感。その熱量の凄まじさに。
井浦新(『止められるか、俺たちを』)
※亡き若松孝二の無頼と優しさを見事に体現した演技の力に。

●助演女優賞
優香(『羊の木』)
※こういう役が出来るんだ!という驚き。女優としての武器を身に着けたかのような熱演。

●長編ドキュメンタリー映画賞
『国家主義への誘惑』