2013/11/24

代表戦を振り返って。


月曜(18日)は、ポール・マッカートニー、東京ドームLIVE
水曜(20日)は、朝5時からサッカー観戦(日本代表VSベルギー代表)
木曜(21日)は、絵画鑑賞2連チャン……京橋・ブリジストン美術館で『カイユボット展』を観た後(テレ東「美の巨人たち」で紹介された《ヨーロッパ橋》が印象に残り、その絵を目当てに出向いた次第)、知人の絵仲間の作品が展示されている『寄席描き展』へ(江東区・森下文化センターで開催中……“寄席”をテーマにした似顔絵などのイラスト展)。

という具合に、何かとイベントの多かった1週間。
お陰で代表戦の感想も延び延びになってしまったが、改めて振り返ってみる。

まず、前回の欧州遠征セルビア戦&ベラルーシ戦に比べて何が変わったか?と言えば、それは「ザック采配」。固定的というか硬直的なメンバー起用から一転、オランダ戦では攻撃の主力である香川・遠藤及び代表戦で結果を出せずにいた柿谷をベンチに置き、清武・山口・大迫を先発起用。清武はあまり存在感を出せなかったが、山口と大迫は期待以上の活躍で、W杯に必要な戦力としての価値を自ら証明してみせた。また、後半からフレッシュな状態の香川と遠藤を入れたことによってオランダのディフェンスは混乱、前半やや孤立気味だった本田の動きも良くなり、攻撃の核3人の連携によって完全にゲームを支配、素早いパス回しから見事な同点ゴールが生まれた。

こうしたコンディションと相手の特徴を抑えた的確な選手起用は、久しぶりに「勝負師ザッケローニ」を感じさせるもの。ベルギー戦でもサイドバックの長友・内田、センターバックの今野に代えて酒井宏樹、酒井高徳、森重という高さのある選手を使い、相手のハイボール攻撃にしっかりと備えてきたし、後半、岡崎・遠藤の投入によって前に出てくるベルギーの裏を狙わせ逆転勝利を呼び込んだ。柿谷もオランダ戦での大迫の活躍に刺激されたせいか見事な1ゴール1アシスト……というように、勝負の結果に対する批判のリスクを恐れず、コンディション的に整わない選手をケアし、結果の出ない選手を奮い立たせながら、来年を見据える《腹の座った采配》だったと思う。

で、個人的なMVPは、オランダ戦は大迫、ベルギー戦は本田。特にベルギー戦の本田は、かつて見たことがないほどの運動量で縦横無尽、攻守にわたって凄かった(もちろん、右足でのゴールも)。スタミナ、テクニック、パワー、シュート力……世界トップレベルとは言えないだろうが、世界レベルであることは間違いなし(まだ伸び代も十分)。大迫もきっちりチャンスをものにするあたり、只者ではない(ポストプレーも上手いし)。柿谷と並んで日本代表の1トップを担える存在だろう。(ガンバ大阪・宇佐美、川崎フロンターレ・大久保も有力候補……個人的に現時点でW杯のメンバーに選びたいのは、柿谷、大迫、大久保or前田の3人。宇佐美はウイングのスーパーサブで!)
香川も体のキレが戻りいい感じ。ベルギー戦ではボールロストの場面が目立ったが、オランダ戦の動きは本来のもの。ゴールに向かう姿勢もはっきり見えた。
ボランチも遠藤、長谷部は安定しているし、そこに攻撃で山口、守備で細貝が加わってほぼ安心(遠藤がケガでもするとヤバイけど)。サイドバックは長友、内田、両酒井で大きな問題なし。残る心配は、センターバック(要の吉田がサウサンプトンで試合に出られないし)とゴールキーパー(川島の調子がイマイチだし)……

まあ、その辺は来年に持ち越すとして、次の代表戦を楽しみにしつつ、今年のザック・ジャパンはこれで終わり。いい〆になりました。

2013/11/19

PAUL!!!



昨夜の「ポール・マッカートニー」東京ドームLIVE(アウト・ゼアー・ジャパン・ツアー)……



午後715分過ぎ、オープニング曲『エイト・デイズ・ア・ウィーク』が会場に流れた瞬間、背筋に震えが走り、「ポール!」と叫んだ声が微かに上ずってしまった。

それから2時間45分。休みもとらず、水も飲まず、歌いっぱなし、弾きっぱなしの大熱演。とても71歳とは思えないパワフルでピュアな声、そして確かなギター・テクニックで5万の観客を魅了し、数十年の時を経ても全く曲の力が衰えないことを証明してみせてくれた「ポール」……只々スゴイ!の一言で、胸が震えるどころか、開演前に呑んだ1合の酒と1杯のワインが、ほろ酔いの前頭葉を席巻し、何倍にも増量して熱い胸に還ってくるような完全ノックアウト状態に陥ってしまった。

あまり「幸せ」という言葉を使いたくはないが、そうとしか言えない夜もある。

「ジョンに拍手を」と歌った『ヒア・トゥデイ』、「ジョージのために」と歌った『サムシング』、「福島の被災者に捧げます」と歌った感涙モノの『イエスタディ』、そして「まだまだロックしたいかい?」と問いかけ「イエー!」の大歓声に応えて演奏した、めちゃめちゃロックな『へルター・スケルター』……

この夜が例え、日本における50年近くに及ぶビートルズ物語の1つのエピローグになろうとも、何を悲しむことがあろうか。今はただビートルズの時代に生きて、この日に出会えたことを歓び、何者かに感謝するのみ。

Thank You, Paul! 素晴らしい夜を!!



1118日(月)東京ドーム公演 セットリスト》
Eight Days A Week
Save us
All My Loving
Listen To What The Man Said
Let Me Roll It/Foxy Lady (instrumental)
Paperback Writer
My Valentine
1985
The Long And Winding Road
Maybe I'm Amazed
I've Just Seen A Face
We Can Work It Out
Another Day
And I Love Her
Blackbird
Here Today
NEW
Queenie Eye
Lady Madonna
All Together Now
Lovely Rita
Everybody Out There
Eleanor Rigby
Being for the Benefit of Mr. Kite!
Something
Ob-La-Di, Ob-La-Da
Band on the Run
Back in the U.S.S.R.
Let It Be
Live And Let Die
Hey Jude

アンコール:
Day Tripper
Hi, Hi, Hi
Get back
アンコール2回目:
Yesterday
Helter Skelter
Golden Slumbers / Carry That Weight / The End





2013/11/15

ボケ?天然?


昨日の朝、起き掛けにテレビを見ながら、いま来日中の元ビートルズ、ポール・マッカートニーの話をしていたら、家人が驚愕の一言を発した。

「やっぱりビートルズは、ジョンとレノンだよね~」……(はい~?)

言いたいことは分かるけど、それじゃ、たった一人の「ビートルズ」。寂しすぎます。
 
で、今朝は今朝で、「ジャック、どこにいる?」と2階からリビングに向かって声をかけたら、「床下!」と即返……(えっ、埋めちゃった?!)

「はあ~?」と頭を抱えて下に降りてみると、黒猫ジャックは暖房の効いた床の上(テーブルの下!)で気持ちよさそうに寝ていた。

まあ、もともと近しい人たちから「天然」と烙印を押されているような人だから、この類の話は少なくないのだが、年のせいか最近はコチラのツッコミが間に合わないほどボケ具合に拍車がかかっている気がする。(私の言語的瞬発力も衰えてきたかも?)

と言って、お互い今さら、脳の言語処理能力をアップできそうもないので、取りあえず、思ったことをすぐに口に出すのではなく、少し考えてから言葉にしよう(してほしい)と切に思う今日この頃。

そんな「ボケ防止」も兼ねて、来週の月曜(18日)は今年71歳を迎えた「ポール・マッカートニー」の東京ドームLIVEに行ってきます。

では、良い週末を。

 

2013/11/12

魔法のデパート?


先週の日曜、映画に関してはあまり自己主張しない家人が、珍しく「あの映画が観たい」と言うので、用事ついでに渋谷まで足を延ばしBunkamura「ル・シネマ」へ。(昼メシは、道玄坂小路にある台湾料理の老舗「麗郷」で麻婆豆腐、小松菜炒め、炒飯、焼きそば)

映画のタイトルは『ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート』……《ニューヨーク五番街の超高級デパート「バーグドルフ・グッドマン」は100年以上に及ぶ伝統と革新性を併せ持つ老舗……ファッション界はもちろん、モデルやセレブなど訪れた全ての人をとりこにする同デパートの裏側にカメラが潜入する》という“デパートのドキュメンタリー”。販売のプロフェッショナルが「観たい!」と言うのも無理はない。と、私自身もある種のアメリカンドリームの象徴である貴重な文化財に触れるような気分で楽しみにしていた。

だが、上映開始から20分も経たないうちに期待は落胆へと一気に転換……アップテンポな音楽とスタイリッシュな映像で内容の希薄さをカモフラージュする「ありふれたファッション映画」といった風情に加え、登場人物たちが(アルマーニ、カール・ラガーフェルド、マーク・ジェイコブスなどの有名ファッション・デザイナーや名だたるセレブリティ及びデパート関係者)、狂信的なまでに「バーグドルフ・グッドマン」を褒めちぎるという、宗教かマルチ商法のプロモーションビデオのような展開に「何、コレ?」とすっかり興醒め。(ファッション大好き、ブランド大大好きという人は、それだけで楽しめるかもしれないけど)

それでも「魔法のデパート」と言うくらいだから、多少はその伝統と文化に関する深~い話でも聞けるのだろうと堪えて観続けていたが、関係者が語るエピソードの数々は、外商担当者が一日で40万ドル売り上げるとか、ジョンと暮らしていた頃のヨーコ・オノが一晩で250万ドル分の毛皮を買ったとか、販売員の年収が50万ドルだとか、お金に関わるぶっ飛んだ話ばかりで、洗練された文化の薫りなど微塵も感じさせてくれない。

結局これは、ビジネスの勝利者とセレブとして社会の頂点に立つ者だけがおだをあげている“資本主義万歳”みたいな話。どこにでもあるブランドストーリーをわざわざ1時間半の映画にしなくても、30分くらいにまとめて「カンブリア宮殿」のような番組でやればいいのに……と、ひたすら続く自画自賛に飽き飽きして隣の席を覗くと、あれほど「観たい!」と言っていた人もギリギリ眠気に耐えている様子。(いっそ寝ちゃった方が正解だったかも)

で、エンドロールが流れた途端にきっぱり席を立ち、劇場を出た所でのツレの第一声は「あ~、つまらなかった!」……

というわけで本作は、早くも今年の私的ワースト1に決定!です。(ドキュメンタリー映画の当たり年だったのに…)

 
それにしても、今日は寒いなあ。

2013/11/05

健さんの勲章


「入れ墨を入れたり、寒いところへ行ったり、あなたがひどい目に遭っているのが見ていてつらい。もうちょっといい役をやらせてもらいなさい」……昨日の朝刊に、文化勲章を受章した映画俳優・高倉健さんに、母が送った心温まる手紙の一節が紹介されていた。

多分、東映のヤクザ映画『網走番外地』や『昭和残侠伝』シリーズが大ヒットしていた60年代後半頃のものだと思うが、亡きご母堂が望まれた“もうちょっといい役”をやりだしてから、皮肉にも私は以前のように健さんの映画を素直に楽しめなくなってしまった。(『ブラック・レイン』は例外として、記憶に残っているのは『幸福の黄色いハンカチ』『駅STATION』他2、3本のみ)

もちろん、それは俳優・高倉健の所為というより、作品自体の問題。その圧倒的な存在感に脚本が負けてしまうのか、逆に健さんのイメージに脚本を合わせすぎるためか、「寡黙・律儀・過去の傷」といったステロタイプな人物像を描くだけの凡作があまりに多い気がして。
だから「日本人に生まれて本当に良かったと今日、思いました」と受賞の記者会見で晴れやかに語った健さんが幸せそうに見えても、役者として作品に恵まれていたかどうかは?であり、そもそもスターではあっても「名優」と呼べる存在であるかどうかも?

その昔、『居酒屋兆治』(監督・降旗康男/1983年公開)の撮影準備が進行していた頃、今は亡き名匠・黒澤明監督から『乱』に「鉄修理(くろがねしゅり)」役での出演を打診されながら、「僕が『乱』に出ちゃうと、『居酒屋兆治』がいつ撮影できるかわからなくなる……二つを天秤にかけたら誰が考えたって、世界の黒澤作品を選ぶでしょうが、僕には出来ない。本当に申し訳ない」と謝罪し、その話を断ったという“もったいないエピソード”があるように、役者として当然の野心を貫くよりも、常に「人間・高倉健」の生き方を優先し守る人なのだろう。

表現者としてどちらの道が正しいかは分からないが、私は映画ファンの一人として「困ったよ高倉君、僕の中で鉄(くろがね)の役がこんなに膨らんでいるんですよ。僕が降旗君のところへ誤りに行きます」とまで申し出て強く決断の撤回を求めた名匠・黒澤監督の下で、「したたかな策士であり、射撃や剣術の腕も抜群。加えて芝居っ気も備えた魅力的な武将」を、健さんがどう演じたのか、観たかったなあと思う。
もう日本には、「俳優・高倉健」の新たな可能性を掘り起し、自分の作品の中で活かしきる事ができるような「世界的名匠」は存在しないのだから……

と、今さらながら残念に思うが、その時に「君は難しい人だ」と黒澤監督が言ったように、幸か不幸か健さんは役者でありながら役者の世界から抜け出た存在、その生きる姿勢において日本人男性の一つの規範となった伝説的スターとして今も私たちの前にいる。

「この国に生まれて良かったと思う人物像を演じられるよう、人生を愛する心、感動する心を養い続けたい」という実直かつ使命感あふれるコメントを読みながら、改めて“健さんの勲章”は俳優・高倉健の業績のみならず、「日本人・高倉健」と、その人間性を慕う多くの人々の胸に与えられたもののように思った。